【選手INTERVIEW#01-3】ちゃまくん「君もサカゲーでご飯を食べてみないか」(最終回)

2018年7月20日、日本初のeスポーツの中のサッカージャンル専門メディアとして、VAMOLA eFootball News(以下、VAMOLA)が創刊した。編集長に就任したのは、元よしもと芸人であり、eフットボール黎明期より「サッカーゲームを仕事にしてみないか」と、Youtubeのサッカーゲーム実況を通じて視聴者にメッセージを投げかけ続けてきた「ちゃまくん」(以下、ちゃま氏)だ。現在、彼のYoutubeチャンネルの登録者数は、63,844人(8月13日現在)とサッカーゲーム実況で日本トップレベルを誇る。インタビュー連載第3回の最終回は、eフットボール業界の課題と未来の可能性を語った。


(写真:ちゃま氏 日本で初めてのウイニングイレブンのプロプレイヤー)

サッカーゲームのプロが職業になるように

eフットボール業界の今の課題ですが、サッカーゲームのプロ、つまり「サッカーゲームで生活をしていく人」がまだいないので、しっかりと生まれて欲しいし、(僕もサポートして)生んでいきたいです。僕はプロゲーマーと言うよりは、(Youtubeで配信する)プロストリーマーの方なので、そうではなくて、格闘ゲームのように、ちゃんとプロプレーヤーが職業として生きていけるようになって欲しいです。

ただ、困ることに今はまだ、世の中にサッカーゲーム系の仕事というものが全然無いんです。格闘ゲームなら仕事がそれなりにあって、例えば、大会で実績を残せばいろいろな(関連する)仕事に呼ばれたりします。芸人がM-1で優勝したら、お笑い番組に呼ばれるみたいな感じがあるんですが、サッカーゲームではまだ規模が違うかなと思います。もちろん、必ずしも格闘ゲームの状況を追っかける必要はないとは思っていますが、まずはギャランティが発生する仕事が、(業界として)どんどん増えていったらいいなと思います。

「大会」が一番求められている

例えば、ウイニングイレブンは、アジア競技大会で(デモンストレーション競技として)採用されることになって、それが大手メディアでもニュースになっています。また、来年の茨城国体はとても反響が良くて、(発表があった後に開催された)ウイニングイレブンの大会の時に、コナミ社が大会優勝者にプレゼントするジャージに、有名企業のスポンサーマークが入っていたりするの見ると、大きな大会を通じて業界が大きくなっていくのを実感します。やっぱり大会はとても重要で、それ自体が話題になりやすく、結果的に企業のスポンサードにも響くと思います。選手の活躍の場の意味でも、小さい大会ももっと増える必要があります。

リアルなサッカーファンを真に魅了できるかは時期尚早

ゲームには興味無いけどサッカーには興味ある人を味方につけれたら、eフットボールは広がっていくのか。最初は僕もそう思いました。サッカーゲームの何が良いかと言えば、「サッカー好きな人が全部お客さん、全員ターゲットにできるじゃないか」と思ったのですが、4年(Youtubeチャンネルを)運営してみてわかりましたが…難しい。

サッカーゲームはサッカーとは別もので、例えば、サッカーゲームは1試合長くて15分くらいしかないので、ボールを取ったら「すぐ縦パスでFWに当てる」のが基本の戦術なんですけど、サッカー好きな人は、つい後ろでパス回しちゃうんです(笑)。そのようなことをしてる時間は無いんですけど、「サッカーだから」って頭でやってしまうと全然勝てなくて、「なんでオレはサッカーを愛してて、知識もあるのに勝てないんだ」ど、そこで気持ちが焦れていって、最終的に僕の動画で叩く…、みたいな(笑)。サッカーゲームが上手いプレイヤー、スタープレイヤーが存在したとして、逆転的に彼らがサッカー好きな人たちを魅了するのは、まだ難しいんじゃないかと思います。

ただ、サッカーゲームが、実際のサッカーに近づいてきている

流れとしてはあります。例えば、EA Sports社のFIFAシリーズは、アメリカの「E3」というゲームの品評会に出展していますが、これはスポーツアクションゲームのジャンルではなくて、「シミュレーションゲーム」のジャンルで参加しています。FIFAシリーズは、リアルなサッカーを体現するものを作ろうとする意志の表れなんじゃないかと思います。

サッカーゲームが、リアルなサッカーのリテラシー教育になる可能性は十分あります。メッシの創造的なプレーもなんでもですけど、アイディアが先に無いと(現実のプレーが)できないと思うんですね。アイディアそのものは、サッカーゲームで手に入れることができるのではないかと。すると、「コーチ」としての仕事の可能性もあるかもしれませんね(笑)。週1でも2でも、子どもたちに教えるeフットボールのコーチになれば、固定収入にも繋がります。それはそんなに先の話ではないかもしれないと思います。

※ここからは、VAMOLA編集責任者の大久保(左)も加わり、eフットボールの課題と未来の議論が重ねられた。


(写真撮影協力:Time Out Cafe 恵比寿)

eフットボールの間口は、もっと子どもたちに親しみやすく

先日の「明治安田生命 e.Jリーグ」のパブリックビューイングイベントでは、小学生くらいの若い子どもたちがいませんでした。サッカーゲームのファンとしての入り口は、本来的には小さい子どものはずなのではと思います(※)。これから、子どもや家族、女性といった「生活=LIFE」のようなイメージがもっとeフットボールに絡んでくることで、ある意味の健全性だったり、他のeスポーツ競技よりも裾野の広さとかを表現できるのではないかと思います。その時に初めて、大会や選手にゲーム会社がスポンサードするのではなく、スポーツメーカーとか飲料メーカーとか…ゆくゆくは航空会社とか(笑)。(大久保)

※実際、FIFA eW杯2018のロンドンでの決勝大会では、多くの子ども連れの観客が見受けられた。
関連記事:【FIFA eW杯2018 サウジアラビア代表選手が優勝、賞金約2800万円を獲得】

選手側の気持ちを代弁できて、企業側の論理も分かるような立場を目指して

eフットボールは、よりスケールの大きいジャンルになっていく必要があると思います。例えば、FPS系の有名なゲームプレーヤーたちは、デバイスメーカーがスポンサードしているので、どこのチームも似たように見えてしまいます。サッカーゲームは、ゲーム関連会社でない企業がもっとスポンサーになれる可能性を秘めていると思っていて、そのためには、まず先に大手メディアや企業に啓発活動が必要だと思います。海外での盛り上がりの状況をしっかりと伝えたり、新しい「スポーツ選手」として、彼らがいかにポテンシャルのあるタレントであるかという説明をしていく…。

マイルストーンとしては2024年のパリ夏季オリンピックを一つの目標に、その時に本当にeスポーツが採用されるなら、「どのような条件が揃っていれば、選手がCMに登用されるのか」を真剣に議論しながら、関係を築いていければ良いですね。例えば、その時にANAのCMは石川遼くんじゃなくて、ナスリくんになってもらう(笑)。それくらいを究極の目標としたいですね。

サッカーゲームをゲームの一部からサッカーの一部に

通常、ゲーマーが見るのはゲームまとめサイトや攻略サイトだと思います。でも、このサイトは何なのと(笑)。eスポーツのサッカージャンル専門メディアとなっていますが、ゲームファンやプロ選手を目指す人だけではなく、ビジネスパーソンにも響くようにしていきたいですね。FIFAやウイイレの情報やゲーム性はもちろん大事に記事にしていきますが、eフットボールの「現象そのもの」にも同時にスポットを当てていく。

例えば、「FIFAが主催でサッカーゲームのW杯を開いている?」、「ゲームがeスポーツとしてオリンピック種目になる?」、「アジア大会に水泳選手、体操選手に混じってウイイレの日本代表選手が?」のような現実の状況は、知れば驚きがあると思います。感度の高い人たちにこうした情報がもっと届いた時に、今までとは違う斬新なアイディアが生まれたり、新しいビジネスの動きなどが出てくることに期待したいです。eフットボールが「サッカーの一部」として認められていく過渡期に、啓蒙しチャレンジするメディア運営をしていきたいですね。

海外で活躍するために必要なVISAと法律の知識

eフットボールで成功した時に、選手は日本を飛び越えて、大袈裟に言えば、世界的なスターになるチャンスがあると思います。しかし、法律の問題がとても大きい。例えば、日本人のDJが(その音楽性に言葉が重要な要素ではないのにも関わらず)海外で活躍できていないのは、能力とは別に、彼らが法務的、経理的に自立できていない人が多いからだと聞きます。

例えば、VISAを申請してなくて海外での仕事を本当は受けることができなかったり、経理が国際対応できてなくて、正確に確定申告をできていなかったりなど…。法務的、経理的に自立できてない人には当然スポンサーなんてつけられない、ですよね。今後、マネジメント会社も多々出てくると思いますが、まずは個人としてチャレンジするeフットボール選手に、欧州でも南米でも活動ができるような、法務的、経理的な情報も、VAMOLAではまとめていきたいですね。(大久保)

日本のeフットボールを世界に届ける

一方で、日本の選手の情報を世界に届けていくことが業界として大事だと思います。例えば、ウイニングイレブンなら、日本はレベルが高いということが海外のファンの人たちも分かっているので、「選手がどんな意図と目的でプレイしてるのか」、技術的な面、心理的な面のインタビューを英語、またはスペイン語、ポルトガル語(ブラジルではウイニングイレブンが人気がある)であったら、面白いと思ってくれるのではないでしょうか。それは、選手のTwitterやYoutueのファン層を世界に広げていくことにも繋がっていくのではと思います。

サッカーゲームの世界にいると、日本が世界で勝てないのは、体格だけじゃないかと思ってきます。ゲームという同じ土俵でやると、日本人、かなり強いんですよね(笑)。リアルな男子フットボールではまだ優勝は現実的ではないですけど、「e」なら日本も優勝を目指せます。ビジョンは広がりますが…、まずは1つ1つの記事から頑張りましょう(笑)。今日はありがとうございました。

(インタビュー・文●VAMOLA eFootball News編集部)

【選手INTERVIEW#01-1】ちゃまくん「君もサカゲーでご飯を食べてみないか」(第1回)
【選手INTERVIEW#01-2】ちゃまくん「君もサカゲーでご飯を食べてみないか」(第2回)

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