【FIFA19シンガポール大会】日本代表つぁくと選手インタビュー「感情を表現することは、ゲームにも大事なこと」
3月8日、eスポーツ『FIFA 19』の世界大会である、「FUT Champions Cup」シンガポール大会の予選ラウンドが行われた。PlayStation部門に出場した、日本代表つぁくと選手(Blue United eFC)は、海外のトップ選手から見事に2勝を奪う場面もあったが、最終的に予選ラウンド敗退となった。
試合後、VAMOLAはつぁくと選手に独自インタビューを敢行した。以下、一問一答。
■つぁくと選手・試合後インタビュー
――2勝3敗により予選ラウンドを敗退となりました。今の率直な感想を
つぁくと選手:予選ラウンド3試合を終えた時点で2勝1敗だったので、ベスト16が見えていました。しかし、その後の2試合を2連敗してしまったことが、本当に悔しいです。ただ一方で、以前出場した大会と比べ、自分が成長したという手応えも同時に感じています。
――初戦(対ブラジル代表ロドリゴ選手)の入り方について、気をつけたことは
つぁくと選手:大会前日の練習では、前線からの積極的なプレスが機能していました。その感触を持って初戦に臨みましたが、大会会場のプレイ環境ではタックルが入らなくて、ロドリゴ選手に上手くいなされてしまいました。対応できず、ずるずると失点してしまったので、結果的に選んだ戦術が正しくなかったと思います。
――前日には機能して、試合当日に機能しなかった原因は
つぁくと選手:まず、サーバーの状態によって、試合の選手挙動が変わるというのがFIFAというゲームです。今日のゲームバランスでは、「簡単にタックルに行くとかわされてしまう」という状況でした。初戦にそのバランスを見つけられたので、第2試合へ向けて修正しようと試みました。
――第2試合、イングランド代表パプス選手に勝利しました。修正が上手くできたのでは
つぁくと選手:メンバーを変更し、戦術も変更しました。もともと、僕のプレイスタイルは、前線からハイプレスをかけ、相手選手のパスの選択肢を塞ぎ、間髪入れずにタックルを入れ、ボールを奪うカウンタースタイルです。
しかし、2試合目からは、まず、しっかりと守備ブロックを敷いて、攻撃時はゆっくりとビルドアップしました。そして、相手がしびれを切らしたところに勝負をかける、いつもとは逆のプレイスタイルに変えました。今日の(サーバー等の)環境では、この方法がハマると思いました。それが功を奏して第2試合を勝つことができたので、今日はこのスタイルで戦おうと考えました。
――プレイスタイル変更の決断ができた秘訣は
つぁくと選手:初戦の後、実は日本にいるナスリ選手(※)に状況をチャットで伝え、(プレイスタイルを)変更すべきではないかと相談しました。彼は世界大会の経験が豊富ですし、彼が同意してくれたので、このアドバイスを信じられると思いました。それが自信になりました。
※ナスリ選手は、日本のFIFAトップ選手。ナスリ選手が出場した1月のブカレスト大会では、つぁくと選手が日本からアドバイスを送っていた。
――得点時に「レッツ・ゴー」(※)と叫ぶシーンがありました
つぁくと選手:「レッツ・ゴー」は、自分の気持ちを高ぶらせるために言いました。出場した世界大会を通じて、多くの選手が使用する喜びの表現にインパクトを受けてきました。「レッツ・ゴー」は、個人的に一番言いやすくて、気合いが入る言葉です。
※「レッツ・ゴー」は、FIFA世界大会で最も多く見られる選手の喜びの表現文句。南米の選手は「バモス」を使用することもある。
――eフットボール(ゲーム)において、感情を表現することは大事か
つぁくと選手:プレイヤーが気持ちで負けてしまうと、プレイに自信がなくなります。すると普段のプレイが難しくなり、プレイに選択肢がなくなってしまうのです。ですから、今日も気持ちを切らせないように注意しました。感情表現を行うことで、気合いを入れ直すことができます。感情を表現することは、(eフットボールの)試合でも、とても大事なことだと思います。
――第3試合、FCバーゼル所属の強敵ストレンジャー選手に逆転勝利を飾りました
つぁくと選手:昨年パリで開催された、FIFAの世界大会「FIFA e Club World Cup」に出場した際、ストレンジャー選手との対戦経験があります。その時はチーム対抗戦で、マイキー選手(つぁくと選手と同じBlue United eFC所属)と順番にFCバーゼルの選手と対戦しました。
先にマイキー選手が3対0で勝利してくれたので、3点リードの状態で僕はストレンジャー選手と対戦したのですが…。しかし、大量に得点されたことにより逆転負けしていまい、悔しい思いをしました。今日、彼に逆転勝利をできたことは、今後の自信になります。
――第4試合、フランス代表ピエショト選手とは難しい試合展開になりました
つぁくと選手:ピエショト選手とは互いに、やりたいと考えているプレイが同じでした。そのような展開では、先制点が大事です。その1点を先に失ってしまい、相手のペースのままでズルズルと試合が進み、その後も得点を奪われてしまいました。1stレグ(の1得点目)が敗因です。メンタルの我慢比べに負けてしまい、完敗です。今日の5試合の中で、一番悔しい敗戦でした。
――予選ラウンドに2勝2敗となり、決勝トーナメント進出が懸かった最終試合(対オーストラリア代表マルコ選手)。どのような気持ちで試合に臨みましたか
つぁくと選手:第4試合が完敗だったからこそ、しっかりと反省ができました。ですから、気持ちは切り替えられていたと思います。まず、先制点を(奪うこと、また奪われないことを)大事にして、自分に分がある時間をより多く作ることで、相手を苛つかせることができれば、必ず自分のペースになると信じて試合に臨みました。
――しかし、残念ながら敗戦となってしまいました。敗因と改善点を挙げれば
つぁくと選手:1stレグ序盤に、クリアーミスをしてしまい、そのミスが失点に繋がりました。そこが全てです。細かいミスをしてしまうと、世界レベルの選手が相手では、簡単に失点へ繋がってしまうことを改めて感じています。ただ、今大会では、環境や状況に応じて、臨機応変にプレイスタイルを調整することができました。それによる勝利もあったので、そこは収穫です。
――世界大会に出場する日本人選手の多くが、「細かいミス」を敗因に挙げます。「細かいミス」をどう改善する
つぁくと選手:「焦らないこと」だと思います。いくら危ないシーンでも、焦らず冷静に(コマンドを)入力してあげる。それが、大事なことだと思います。
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(写真●Blue United Corporation)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)