【STAND UP UNITED】名古屋グランパスOB岡山哲也氏インタビュー「最強のeスポーツチームを作ります」(前編)

名古屋グランパスのOBで、現在は中京大学附属中京高等学校サッカー部監督を務める岡山哲也氏が「eスポーツジャパン社」を設立した。同社のeスポーツ新チーム「STAND UP UNITED(スタンドアップユナイテッド)」でも監督を務める。そこで、VAMOLAがインタビューを行った。

同チームは、元サッカーW杯日本代表選手である秋田豊氏がヘッドコーチに就任。特別アドバイザーには、ピクシーことストイコビッチ氏が就任した。リアルサッカーで活躍した選手が、eスポーツの指導者に就任することが報道され注目を集めている。本インタビューでは現段階で決定していることを踏まえ、岡山氏の持つeスポーツの未来や理想像が語られた。


(写真:STAND UP UNITED発足記者発表会にて)

■準備を整え本格始動へ

会社の陣営としてはすでに記者会見(※1)でお伝えしている通り、秋田豊さんと特別アドバイザーにはストイコビッチ。それとまだ発表できないのですが、サッカー好きなら誰もが知っている元日本代表のGKコーチ就任も決まっています。今後は合宿や定期ミーティングなど、具体的な行動プランを考えています。選手については、まず国体(※2)を見据えていますから、3名はほぼ確定している状況です。それ以外にも多くの選手にアプローチしています。

また、エンタメ性も重要と考えています。こちらも未発表ですが、名のある芸人やアーティストなど、有名人にも参加の要請を続けています。秋田さんも自分の仕事(株式会社サンクトジャパン代表取締役)がありますし、ストイコビッチは中国でリーグ戦をしています(現中国サッカー・スーパーリーグ・広州富力監督)。これから準備することは多いですが、「最強のeスポーツチームを作る」という目標のために進めています。

(※1)「STAND UP UNITED(スタンドアップユナイテッド)」の発足記者会見は9月6日、名古屋市内で行われた。
(※2)2019年(平成31年)に茨城県で開催される「いきいき茨城ゆめ国体(第74回国民体育大会)」を指す。同大会に関連してeスポーツが大会が同時開催される。


(写真:STAND UP UNITEDのチームロゴ)

■リアルサッカーの技術をeスポーツへ導入

日本国内のeスポーツのトッププレイヤーと話をすると、彼らもJリーグなどプロサッカー選手の戦術や理論を知りたがっていると感じます。ただ、まだ自分もゲームの世界で実際の動きがどこまでできて、どこからができないのかを完全には把握していない。私はプロサッカー選手でしたが、サッカーゲームのプロではないので、それについては勉強中ですね。

ゲームでの具体的なことについて話すと、特に考えているのは、グラウンドでの「オフ」。つまり、ボールに関わっていないときの動きです。サッカーというスポーツは、ボールを持っていない時間帯の方が圧倒的に多い。そのとき、ボールに対してどのようなポジショニングをとるのかが、試合においては重要です。リアルのサッカーで考えてきたこと、やってきたことを、選手へのコーチングに活かすことができればと考えています。

リアルサッカーで「技術が高い選手」というのは、「観えている」からこそそれが発揮できる選手、だと思います。目の前のことだけではなく、先にいる相手や味方を観ながらプレイの予測ができる。ボールをただ追うのではなく、グラウンド全体を観ながらボールを見ている。ゲームでは画面があって、俯瞰で全体を観られる。そこに大きな違いがあります。ボールを持った選手の動きも大事ですが、全体が「観えている」状態でいかにゲームを進めていけるか、その点が重要です。

また、もう一つ、実はプロ選手ともなれば一部の選手を除いて、純粋に技術面だけで言えば、その差は紙一重です。みんな当然平均以上の技術を持って(プロの世界に)入ってくる。じゃあどこで差がつくかというと、ドリブルやパス、シュートにもリズムがあって、相手を観ながらそれを「ずらす」ことができる人。もし全体が観えていれば相手のリズムもわかり、それを少しずらすことでフェイントになり、更には相手全体を崩して得点につながる。ネイマールやイニエスタを見るとそのあたりが本当に「技術がある」と感じますね。勿論才能もありますが。


(写真:ヘッドコーチに就任した秋田豊氏。チーム発足の記者会見にて)

■バーチャルこそ掴みやすい「立体的に観て、全体の動きを考える」

「ずらす」ということに関してもう一つ。例えば人間って、ずっと息を止めておくことって無理ですよね?ボールを持って相手と対峙するときに、相手も呼吸をしている。その呼吸のタイミング、相手が動きにくいところ、即ち、止まったところでこちらが動く。そうするとうまく「ずらす」ことになりますし、そうなればこちらが優位に展開することができる。目の前の相手を崩したら、その後にどう動けば有利なスペースに攻め込めるか。「目の前がこうなると、次はあちらがこうなって、ゴール前がこうなっていく」と立体的に考えることが、サッカーでは重要です。

高校でサッカーを指導していますが、高校生はサッカーを立体的に観ることが苦手。平面でしか捉えられない選手が多い。でも本当に技術がある選手は、目の前にいる人だけではなく、ピッチ全体を俯瞰で観られる。そうなると「あそこにスペースがあるから、あそこにボールを入れ、相手を引きつけ、そして誰々を使ってゴールを奪う」といった戦術的な考え方ができるようになります。

バーチャルなら常に俯瞰で見られますから、立体的に動くという視点を持ち、それに基づいた作戦にも移しやすい。これらの話はサッカーのごく一部ですが、最初に言った通り「リアルのことが、どこまでバーチャルの世界でできるのか」を勉強しているところです。

【STAND UP UNITED】名古屋グランパスOB岡山哲也氏インタビュー「eスポーツ市場の先駆者になりたい」(後編)へ続きます(10月17日公開予定)。

(インタビュー・文●berry`s line)
(写真提供●eスポーツジャパン社)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)

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