【STAND UP UNITED】名古屋グランパスOB岡山哲也氏インタビュー「eスポーツの先駆者になりたい」(後編)
「eスポーツ ジャパン社」によるeスポーツの新チーム「STAND UP UNITED(スタンドアップユナイテッド)」で監督を務める、岡山哲也氏へのインタビュー後編をお届けする。後編では岡山氏が今後eスポーツのフィールドでどのような活動をしていくのか、そのビジョンについて聞いた。
(写真:STAND UP UNITED発足記者発表会にて)
■一緒にウイイレのプレイスタイルを創造する
先ほど(※1 インタビュー前編)も述べたとおり、まだ自分もゲーム(ウイイレ)での実際の動きがどこまでできて、どこまでができないのかを完全には把握していないため、それを調べている段階です。情報を得た後は、プレイヤーと共にウイイレの新しいプレイスタイルを作り上げていく存在として、監督としての活動をしていきます。
心境としては、まっさらの大地に足跡を付けていくという感覚です。何かウイイレの「新しい型」を作れたらと。これも繰り返しになりますが、高校生のレベルではゲームを立体的に観ることがなかなか難しいですが、バーチャルならそれがすぐにできる。そしてリアルサッカーの経験がある人ほど、バーチャルでもそれを理解しやすい。これからどのようなスタイルを作れるのか、模索しながらやっていきます。
(写真:STAND UP UNITEDのチームロゴ)
■あくまで活動は世界基準 海外のサッカー市場を動かしたい
いまSTAND UP UNITEDは国内でスタートしていますが、これから利益を出てきたときに考えたいのは、海外のリアルのサッカーチームの経営権を持つということです。バーチャルのサッカーで成功している監督、コーチスタッフなどがリアルな現場に携わり、相互作用を得ていく。そうすることで、これまでになかった価値が生み出せるのではと感じています。
ストイコビッチに協力を要請したのも、実はそういった「海外と日本の橋渡し」的な役割も期待しているからです。海外に人脈があり、知名度もあるストイコビッチが間に入り、海外のチームと私たちをつなげてもらいたい。そして、これまで埋もれていた有望な人材を発掘し、リアルとバーチャル、サッカー市場全体で活躍できる場所を作りたい。
(写真:岡山哲也氏は中京大学附属中京高等学校サッカー部監督も務める)
■活動の原点は「チャレンジできる場所」という考え方
現在、高校でサッカーの指導者をしていますから、全国から有望な選手が集まってきます。でも、試合に出られるのはスタメンなら11人、ベンチ入りできる選手もそれほど多くありません。ほとんどの選手が、他校ではエースになれる実力があっても、活躍する機会のないまま卒業してしまう。自分自身、Jリーグが始まった当初はほとんど試合に出られませんでした。たまにトップ(1軍)で試合に出られても、他の誰かが上がってきたらすぐサテライト(2軍)。使ってもらえず辛い思いをしたことがありました。
試合に出られるようになったのはベンゲル監督(※2)になってからです。我慢強く使ってもらって、そこから活躍することができるようになりました。試合に出られない時期の辛さも、信用して使ってもらえる喜びもよく知っています。それに、誰もがプロになれるわけじゃない。プロになることは無理でも、他の何かサッカーを通じたチャレンジの場所を提供しよう、その場所をまず僕らが作ろう、というのがSTAND UP UNITEDの原点です。
リアルサッカーで上手くいかなくても、その経験をeスポーツのサッカーで活かせれば素晴らしいこと。例えば、高校ぐらいまでリアルの選手だった人が、その後はeスポーツチームのコーチや監督をやるとかね。いろんな道があるとやりがいも見えてくるでしょうから。日本の元サッカー選手が、海外でeスポーツチームの監督になって、そこから世界を目指すとかいった、夢が広がりますよね。
(写真:ヘッドコーチに就任した秋田豊氏。チーム発足の記者会見にて)
■名将・ベンゲルから得たリーダーシップを次世代へ
現役時代、私はベンゲル監督から多くのことを教わりました。特に印象に残っているのが、負けていても「俺を信じろ」という強いリーダーシップがあったこと。どんなに連敗していても強気で、選手に勝つためのメッセージを伝え続けるストイックな人でした。それでいて遠征先では選手の食事にも気を遣い、リラックスさせるようなことも言う。一緒にいてチームに心地よさをもたらしてくれる、そんな監督だったんです。
これからリアルでもバーチャルでも、サッカーを通じていろんな人と活動をしていきます。サッカーに関わって生きていきたいという人が、いろんな道を自分で選べて、そこで頑張っていけるように、まずSTAND UP UNITEDが先駆者になっていきたいですね。
※1 【STAND UP UNITED】名古屋グランパスOB岡山哲也氏インタビュー「最強のeスポーツチームを作ります」(前編)
※2 アーセン・ベンゲル 名古屋グランパスエイト元監督(1994~1996) 1995年Jリーグ最優秀監督賞受賞
■編集後記
取材中、幾度となく岡山氏が発した「最強のeスポーツチームを作る」「先駆者になる」という言葉が非常に印象に残りました。岡山氏が高校サッカーの部員と日々接し、指導を重ねる上で経験されてきた「サッカーは誰もが目立つ選手になれるわけでも、試合に出られるわけでもない」という事実。
そこから感じた「サッカーを通じていろんなチャレンジができる環境作り」の重要性こそ、岡山氏のSTAND UP UNITED設立にかける思いの原点であることが伝わってきました。チーム編成においては今後も著名人が続々と公開されるとのこと。STAND UP UNITEDの本格スタートが、楽しみでなりません。
「STAND UP UNITED」運営 株式会社 eスポーツジャパン概要
・会社名 株式会社 eスポーツジャパン
・所在地 東京都中央区銀座6丁目4-8ー5F
・代表取締役 岡山哲也
・設立 2018年 9月
・資本金 1500万円
・事業案内
eスポーツチームの運営
eスポーツ参入トータルソリューションサービス
(現実のスポーツクラブや芸能人、企業、役所などが固定コストの少ないeスポーツに参入する方法を提言)
eスポーツリーグの運営
(インタビュー・文●berry`s line)
(写真提供●eスポーツジャパン社)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)