【FIFA19 Gfinityロンドン1月大会】日本代表ナスリ選手インタビュー「世界大会に出場して感じられる違いがある」

1月19日から20日の2日間、『FIFA 19』によるeスポーツの世界大会「FIFA Global Series Licensed Qualifier(略称:LQE)」の1月大会がロンドンで開催された。

日本からは、アジア・オセアニア予選を勝ち上がったナスリ選手(同大会の登録名はWeb Nasri)が出場。予選ラウンド4試合を戦い、1勝3敗の勝ち点3とした同選手は、残念ながら決勝トーナメント進出とはならなかった。

VAMOLAは試合後、ナスリ選手にインタビューを敢行。1試合ずつ同大会を振り返ってもらった。以下、一問一答。

――第1試合、スペイン人のアンドニ選手との対戦を振り返って

【第1試合】
Web Nasri 対 AndoniiPM(Movistar RIders Esports Team)
1stレグ:2対3
2ndレグ:4対5
合計:6対8

(今シーズンのFIFA公式大会で)準決勝まで行ったことのあるAndoniiPM選手との試合でした。内容は悪くなかったのですが、1試合目ということもあり緊張感がありました。1試合目で負けてしまうと、気持ち的な問題が出てきてしまいます。

――気持ち的な問題とは

1試合目に負けてしまうと、正直に言えば、なかなか気持ちが乗っていくことが難しくなってしまいます。

――敗因は

1つは、事前の練習のしすぎで疲れてしまったことです。準備としてアップをするつもりが、どれくらい練習時間があるかわからない状態で(アップを)開始してしまい、大会が始まる前に3時間丸々やってしまいました。

――第2試合、ドイツ人のサクール選手との対戦を振り返って

【第2試合】
Web Nasri 対 Sakul(Fokus Clan Esports Team)
1stレグ:2対3
2ndレグ:1対5
合計:3対8

1stレグの序盤は全く集中できなくて、2本のPKを与えて失点してしまいました。90分に追いついたのですが、逆にアディショナルタイムに決められてしまい。結局、(盛り返すことができず)2ndレグは崩れてしまいました。

――相手の情報は知っていましたか

対戦相手が直前で決まる仕組みのため、特に事前に準備はできませんでした。Sakul選手は顔を見たことがある程度でした。

――すでに知っている選手、もしくは知らない選手、対戦しやすいのは

特に変わらないと思っています。個人的には、どちらでも良いです。

――この試合に関する改善点は

どうでしょう。集中力さえ保てれば、2ndレグに関してはマシになったかも知れません。

――集中力が保てなかった原因は

それは第1試合と同じで、練習です。また、第1試合の疲れも残っていたのがあったと思います。

――試合の合間には何か行っていましたか

第1試合と第2試合の間は大会側の指示で数十分ずっと座って待っていなければいけなくて、腰が痛くなってしまいました。席を一旦外して気持ちを切り替えたりできれば良かったと思います。

――第3試合、アメリカ人のアランアビ選手との対戦を振り返って

【第3試合】
Web Nasri 対 XalanAvi(FCダラス)
1stレグ:0対0
2ndレグ:2対1
合計:2対1

内容としては良くなかったです。ただ、もしここ勝てば、もう1試合多く(決勝トーナメント進出の可能性を懸けた)対戦ができると思ってやっていました。

――良くなかった点は

相手も同じように既に連敗していて集中力が切れかけていたので、もっと点を取ったりできたのではないかと思います。

――第4試合、実績のあるモーバメヤン選手との対戦を振り返って

【第4試合】
Web Nasri 対 Mo Auba(ヴェルダー・ブレーメン)
1stレグ:1対3
2ndレグ:1対3
合計:2対6

2ndレグでは先制点を取れたのですが、その後に大五郎ロナウドが無人のゴールにシュートを外してしまい…。その2点目が取れなかったのが響きました。それから守備を3バックに変えましたが、やはり逆に相手にディフェンスラインの裏を多く取られ、追加点を重ねられてしまった試合でした。これは仕方ないところがあります。

――4試合を総括すると

守備、攻撃の両方とも課題があります。正直、自分の中で、まだ消化しきれてはいないです。相手の試合を、こうして目の前で見るのと、普段のようにスマートフォンで配信を見るのはだいぶ違います。今は、もっと客観的に見てみたいです。

――決勝トーナメントに勝ち残っている選手との違いは

まず、攻め方が違うと思います。例えば、(決勝トーナメントに勝ち残っているような選手は)自分が準備できていないような状態で攻めてきます。日本ではあまり体験したことのない攻め方をしてくることに対応する必要があります。

また、サイドからの攻めが速いです。ラグビーっぽいというか、実際のサッカーには無いような感じでパス回しのタイミングが早いのです。

――日本人選手と海外選手、試合する上で感じる違いは

それは、いろいろなところが違います。特にコントロールシュートがとても上手いと思うのですが、日本では同じように打ってもストレートの軌道になる場面のシュートが、海外では強いカーブがかかってキーパーが動けないような綺麗なゴールが多いです。仕様の違いの気もします。

(一般的に)観るだけなら、ヨーロッパ選手のプレイスタイルが面白いと感じます。点の取り合いや、どっちが勝つかわからないような(スペクタクルな)試合はやはり面白いです。

ただ、戦術的に(高度な試合をする)日本人選手のプレイスタイルの方が個人的には好きです。もちろん、見方によっては違いますが。

――ヨーロッパ独自(サーバー特有の)環境についての感想を

マッチングの速さが快適でした。対戦相手のパスは速いですし、足も速いです。また、コートも広く感じますし、コンピューターの動きが良いです。

――コンピューターの動きが良いとは

操作していない選手が自動でタックルしたり、AIディフェンスが違います。この点は、日本とヨーロッパで(同じゲームでも)動きが全然違います。

ヨーロッパでは当然のように言われていることなのですが、AIディフェンスを使わずに自分でディフェンスを操作する方が、リスクがあります。ヨーロッパの環境では、AIディフェンスは基本的に抜かれないし、パスカットをするし、ボールにタックルもします。でも日本の環境では、これらを自分でやらないといけない。この感覚は、実際にヨーロッパに来てプレイしないと体感できないです。

――海外移動で何か気に掛けていることは

基本的なことですが、風邪をひかないように心がけています。

――食事は気になりますか

今はまだ困ってないですけど、油っこい食事は苦手です。遠征が続くようだと気にかけるかも知れません。来週、(FUT Champions Cup)に行くルーマニアのホテル近くに日本食が全くなかったら、厳しいかもしれません(笑)。

――ロンドンでの大会が続きますが、サッカーの本場であるイギリスに対して思い入れは

日程によってはプレミアリーグを観れる可能性があり、それは興味があります。でも、ヨーロッパの国なら、どこも変わらないですね。

――今後の抱負を、最後に一言お願いします

(今週からロンドン、ブカレスト、再びロンドン、そしてアメリカ・アトランタと)連続して世界大会に参加できる機会になりました。それは良い経験になると思います。海外に滞在しながら、その環境で(プレイを)改善できるチャンスがあります。まずは、次のFUT Champions Cupブカレスト大会を頑張ります。

技術面でスキルアップしたいところですが、(次の大会までの)1週間だけでは微妙なところです。こちらのプレーに慣れるとか、(体調や精神面の)調整をするような感じになると思います。

■大会概要

英Gfinity社が主催するFIFAグローバルシリーズの公式大会。世界の各地域予選を突破した、PlayStation4部門とXbox One部門の各16名ずつ計32選手がロンドンに集結。予選ラウンドはスイス方式で行われ、両部門の上位8選手が決勝トーナメントへ進出できる。そして、各部門の優勝者が両コンソールで順番に対戦する最終決勝戦へと進む。優勝は、その2試合の合計得点によって争われる。

なお、スイス一部リーグFCバーゼルに所属するアルゼンチン人プレイヤー・ニコラス選手が優勝。優勝賞金8,750米ドル(約96万円)を獲得している。

●関連リンク:<FIFA19ロンドン世界大会>アルゼンチン代表ニコラス選手が優勝!エジル設立のeスポーツチーム選手を決勝で破る

(取材●Akira Kurosawa)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)

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