ウイイレ欧州ブランドマネージャーBobzien氏が明かす、リーグ・クラブ・選手会の「ライセンス契約」の実情と行方

10月17日に海外メディアGAMESPOTが、Pro Evolution Soccer(ウイニングイレブンの海外名)のヨーロッパ・ブランドマネージャーLennart Bobzien氏への「ライセンス契約」に関するインタビュー記事を公開した。日本のユーザーにとってあまり知られていない興味深い話題が取り上げられているので、いくつか内容を紹介する。

(写真:コナミデジタルエンタテインメント社プレスリリースより)

■噂されていたクラブ数制限の明言

同記事は、ウイニングイレブンが取得している各種の公式ライセンスに言及。まず、英プレミアリーグの状況から述べられている。

同リーグはFIFAシリーズを制作するEA SPORTS社が「リーグライセンス」を取得している一方、ウイニングイレブンはFIFPRO(国際サッカー選手会)より「プレイヤーライセンス」を得ており、リーグ名やクラブ名は偽名ながらも、全ての選手が実名で収録されてきた。

ウイニングイレブンは毎作、特定の数クラブと個別に契約し、それらのクラブと選手は実名で収録されている。そのため、ユーザーからは「個別に契約するクラブを増やして欲しい」という要望が長年あるものの、何故か2クラブ以下しか収録されて来なかった。この経緯により、ユーザーの間では「なんらかの事情で個別契約クラブ数を制限されているのではないか」と噂され、いつしかそれは定説のように扱われてきた。

そして今回のインタビューでBobzien氏は「英プレミアリーグとの契約条件により(ウイニングイレブンは)2クラブに制限されている」ことを認めた。

続いて、独ブンデスリーガについて述べられている。

同リーグはFIFPROに未加盟であり、ライセンスは完全にEA SPORTS社が手にしている。そのため、ウイニングイレブンには個別に契約したクラブとその所属選手しか収録されておらず、ブンデスリーガを偽名でもプレイできないことがユーザーの不満の種となっている。こうした背景からプレミアリーグ以上にクラブとの個別契約を望む声はあるが、プレミアリーグ同様に契約クラブ数に制限があることをBobzien氏は認めている。なお、ブンデスリーガとの契約は3クラブであるとのこと。

■セリエAの収録に向けた難題

一口に「ライセンス」といってもリーグによって形態は様々である。各クラブ、選手会、主要スポンサー、スタジアム保有者など関わる団体は多岐に渡る。そしてリーグごとに、リーグ機構との契約がどこまでの権利を含むかは、各リーグごとに実に様々である。Bobzien氏はセリエAの権利関係の特殊性を述べている。

セリエAの正式名称は“セリエA TIM”であり、モバイル通信会社TIM社がネーミングライツを保持している。これが契約における大きな問題となっている。セリエAのブランド権利を得るためには、リーグのみではなくTIM(記事中ではメインスポンサーと表記)からも権利を得る必要がある。そして、TIM社は一定のスポンサー料を求めているとのこと。

ウイニングイレブンは、EA SPORTS社と個別契約を結ぶユベントスを除き、セリエA19クラブとの個別契約により、リーグ以外のライセンスを取得している。セリエAの「名称」のためだけに大金を投じる必要があるのかどうか…というところで収録されなかったと筆者は推察している。

■失ったチャンピオンズリーグのライセンス

Bobzien氏は、チャンピオンズリーグ(以下CL)は偉大な大会だと敬意を払いつつも、CLの権利には、出場クラブそのものの権利は含まれておらず、大会周辺の権利を得るに留まるため、ウイニングイレブンはCLに焦点を当てるよりも、複数のリーグ(今作は新たに10のリーグが収録)と契約し、チーム数を増やすことを重視したと述べている。ただし、UEFAと将来の契約に向けて、引き続き交渉を行っていることも同時に明かしている。

■ウイニングイレブンの自信と市場の行方

Bobzien氏は、ビジュアルからゲームプレイに至るまで、ウイニングイレブンは世界で最高のサッカーゲーム体験を提供しており、EA SPORTS社が独占しているようなリーグやクラブの権利をウイニングイレブンが得れば、サッカーゲームの市場を大きく変えることができると考えているようだ。とりわけ、ウイニングイレブンの日本のグラフィックチームは、選手の顔を細部まで素晴らしく再現しており、それはゲームを大いに素晴らしいものにしているとも述べている。

■参考記事

How EA And FIFA Beat Konami And PES To Football’s Biggest Licenses – GameSpot

本記事は、ウイイレのファンが作るコミュニティサイト「ウイイレの家」との共同記事です。「ウイイレの家」では、ブログとTwitterの他誰でも参加できるDiscordサーバーを運営しています。より詳しい続編記事を「ウイイレの家」にて公開しておりますので、そちらも併せて下記リンクより是非ご覧ください。
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(文●時雨)
(協力●ウイイレの家)
(編集●VAMOLA eFootball News編集部)

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